シカゴの四つ玉

大したことは書いてません オタクが暴れています

キリンジ「エイリアンズ」について(あまりいい考察ではない)

最近unchainさんというバンドのカバーでこの曲を知り、格好良いので本家もよく聞くようになった。

聞いたことのある人も多いだろうし、キリンジさんの代表曲と呼んでも言い過ぎではないだろう。

この曲の歌詞の世界観がどことなくやるせなくて大好きだ。初め「旅客機」で「ボーイング」と読ませるところや、「公団」や「バイパス」の単語で絶妙な田舎の質感をぴったり描写しているのがグッとくる。私は公団と言うと「団地ともお」みたいなあの感じをイメージするし実家の周りにバイパスがあるので、歌詞の世界と心象風景みたいなものをうまく重ねられる。

私はこの曲の主人公はどこか街に馴染めないはみ出し者の二人組だと思っているし、いくつかある先人の皆様の考察の中では同性愛者の男性カップルという説を支持している。

それをふまえて申し上げると私個人としては、倫理的に良い悪いは置いておいて主人公は「家族の元を離れただらしない男性としっかり者の女の子」だと勝手に思っている。彼らは家出した兄妹かもしれないし勘当された親戚のお兄ちゃんと女の子かもしれないし、誘拐犯と誘拐された子である可能性も理論上はあり得る。

泣いているダーリンをそっと慰める幼い母性、はるか遠い地を夢見て自分たちに懸命に魔法をかけようとする無垢さを感じずにはいられなかったのである。

しかしここで私は前半と後半で語り手が変わっているのではないかと考えた。後半の主人公は男性で、自分の短所をジョークにしてしまう哀しさ、情けなさみたいなものを持っている。また、先ほど述べた主人公ゲイカップル説の根拠は一人称が「僕」かつ二人称が「ダーリン」であることだと思うのだが、私は男性が女の子に自分のことをダーリンと呼ばせるために自分も女の子をダーリンと呼んでいるのではないかと推測する。

きっと女の子のないものねだりも男性からの口づけで解決されるし、彼らは暗いニュースが世に出る前にラストダンスを踊るのだろう。

ここまで書いてきたら今まで出してきた中でもダーク目な説、勘当された親戚や誘拐犯と被害者説の方が合っているまでありそうかなという気もしてしまった。暗いニュースが出たら彼らはダンスができないんですよ?