シカゴの四つ玉

大したことは書いてません オタクが暴れています

R-指定さんの即興ラップの韻ⅱ

こないだの記事の続きです。「テッパンいただきます」という番組で、Creepy NutsのR-指定さんがリモート出演している芸人さんたちからもらったお題を入れて即興でラップをする企画がありました。その韻を見ていきます。

 

今回は5月19日放送分。ビートはCreepyの「よふかしのうた」の冒頭のワンフレーズをループしてました。

 

ステイホー 家にいる期間 なんか心がトゲトゲする

ならばちょっと言葉の中に 優しさを持って接したいと思う

ハサミだってさながらセーフティーハサミ

鍛えたって小さいきんに君 銃を撃っても弾はスポンジ 

そんぐらいの優しさでいきたい

 

始め、「ホーム」「期間中」「する」の[u]と「ちょっと」「にも」「を持って」「と思う」の[o]で細かく踏んできます。所かまわず緻密に踏むところが好きです。

緑の字は直前にスタジオで話されたことを入れてきてるとこです。

「ハサミ…」はミルクボーイ駒場さんが鼻毛切りばさみで脅迫された事件、「鍛えたって…」はダイアン津田さんがパンプアップしたのをMCの華大さんと千鳥のお二人に「小さいきんに君」といじられたこと、「銃を…」は宮下草薙の宮下さんがはまっているバトルトイのことです。

 平場の話から「ささやかなもの」「やわらかなもの」を瞬時に拾い集めて今の世の中に優しさを持とうよ、というメッセージにつなげる頭の回転の速さが単純にすごい。

 

鍛えたりしてもやっぱり あの人高校落ちるんだよね

いやたまに 「もうええわ」が飛んでトチるんだよね

俺寝ないとパフォーマンス落ちるんだよね

 

「やっぱり」「たまに」の[aai]、「落ちるんだよね」「トチるんだよね」の[oiuaoe]でがっちり踏んでいます。

「鍛えたり…」と「いやたまに…」は津田さんの実話です。何気にRさんはダイアンのラジオのファンだったりします。それをふまえるとより楽しいリリックかなあとも思います。

赤字が芸人さんからもらったお題です。宮下さんが、草薙さんが「俺寝ないとパフォーマンス落ちるんだよね」と言うのが腹立つ、ということで丸ごとお題にしました。

 

まるで津田さんみたいにやってきた

俺の中はいつだって回ってる だけども言霊ならば150キロくらいで投げる 

頭に届く そして何か起きる

まあいいや 家にいる期間は好きなように楽しんで遊べばいい

 

続き、津田さんの名前を出して「頭」「中は」「ならば」で[a]をバンバン入れてきます。「回ってる」「投げる」の[aeu]も美しい。

「150キロ…」はティモンディ高岸さんの逸話(この記事は密かに最近のお笑いの知識がないと分からないことが多いかもしれません、頑張って付いて来て下さい)。

 

でも遊び方忘れた いや楽しいことすら忘れた

俺が好きだったもんが忘れた

んー それおかんが言うには

 

「忘れた」の連続が目立ちますが、忘れたの直前の音が全て[a]なのは地味にいいんですよ。んで 「忘れた」という単語自体がミルクボーイさんのお馴染み「おかんが言うには」の伏線(?)になってます。やべえ。

 

YO! 漫才 お笑いとライブ 俺なら音楽作ってみんなの前にダイブ

そう 生のつながり いつかできるようにと信じたい

だから俺もやっぱりラップしながらも

頭の中は回転させるぜ 不可能なんてないぜ

可能にさせるから 今からしっかりと

俺がビートの上でラップをする こんなお題集められてどうする

いやできんのできないの やればできる

 

 冒頭「ライブ」「ダイブ」「つながり」「信じたい」「やっぱり」の「ai]で固めます。「ライブ」「ダイブ」の「ブ」の音はbの子音なので聞いてる分には自然です。

「やればできる」は高岸さんのお題です。

 

目ひん剥いて きよしさんばり

みんなに届けたいぜ この思い 好きなようにやるおもいおもい

俺の頭ン中に 重い鎧なんてないから

しっかりと俺ならばフリースタイ

というか俺の頭の中はいまだに回転中 だからいまだにやってる

心がちょっと錆びついて来てる

 

「目ひん剥いて…」は高岸さんの目を見張る癖です。

そして「ばり」「みんなに」「届けたい」でここでも[ai]。

二行目「おもい」という言葉が何回も出てきます。「おもいおもい」はテロップでは「重い思い」でしたが、「各々」みたいな意味での「思い思い」とのダブルミーニングだとにらんでいます。「重い鎧」と続き、夥しい[ooi]が攻めてきます。

「ない」「スタイル」の[ai]、「やってる」「来てる」の[eu]も小気味いい。

 

なられをぎ落と スーを差し上げますー

と言っと マイクロフォンチェックワンツー

これが俺のフリースタイ ありがとうございますー

 「落とす」「すー」「言っとく」「ワンツー」「スタイル」と[u]尽くしで締まりました。

「スーを…」は津田さんのお題(津田さんの必殺フレーズは「ゴイゴイスー」です)。

なんだかんだ推しで締める形になったのも何かの縁を感じずにはいられません。私はそういうオタクなので。

 

【お笑いに明るくない人のための人物紹介】

ミルクボーイ駒場さん…去年のM-1王者の青い服の方、マッチョお兄さん。バレンタインチョコは女性ファンよりゲイのファンの方が多い。

宮下草薙…丸顔で個性が強い草薙さんと男児向けおもちゃが大好きな宮下さんのコンビ。

ティモンディ…私もあまり知りません。オレンジの人が高岸さん、元高校球児。

ダイアン…関西から最近東京に来た。ゴイゴイスーの津田さんは滑り芸、西澤さんはトークやコントがおもしろい(おすすめは「岸大介シリーズ」。